しみずっちの窓から㉑ ~ 紅葉が教えてくれること ~
令和4年(2022年)10月23日
紅葉が教えてくれること
自然の美しさにうっとりさせられることはよくあることですが、この時期、真っ赤に染まる樹木の紅葉にはその鮮やかさとともに、樹木が発する何かとてつもないエネルギー感じ、胸を打たれます。(私だけかな?*苦笑)
ご存じのように、秋になると落葉樹の葉は色が変わり、やがて葉を落とします。落葉までの過程で、イチョウのように黄色になるもの(「黄葉」*おうよう)やモミジのように赤色(「紅葉」*こうよう)なるものがあります。
もともと葉の中には黄色の色素(カロチノイド)と緑色の色素(クロロフィル)があります。クロロフィルは、葉の葉緑体の中にあり、光合成を行うための主役となって、植物が生長するための栄養分をつくりだします。しかし、日差しが弱くなる秋になると、光合成でつくられる栄養分(エネルギー)よりも葉を維持するために消費されるエネルギーの方が大きくなるために採算が合わず落葉の準備を始めます。と同時にクロロフィルも必要なくなるため分解されて消滅します。するともともと含まれていた黄色の色素が目立つようになるため「黄葉」が起こるのです。
では、「紅葉」はなぜ起こるのか?(ごめんなさいね。生物学的な話ばかりで固くなってきました*苦笑)植物の中には、クロロフィルを分解しつつ、葉の中にもともと含まれていない赤い色素(アントシアニン)をつくる植物があります。ナナカマドやイロハモミジなどがそうですね。緑色の色素が分解される一方で、赤い色の色素がつくられるため、「紅葉」するのです。では、突っ込んで、秋になるとなぜ赤い色素がつくられるのでしょうか。そのことを解明するにはいまだ、植物学者の間でも謎が多いとされていますが、一つの仮説として、この赤い色素が樹木自体を守る働きをしているというのです。いまいちそのメカニズムがよく理解できないのですが(もう少し勉強しておきます*苦笑)、次の春に葉を出すための養分を十分に取り込み、蓄えるために、樹木を侵す有害物質を退治する働きがこの赤い色素にあるというのです。
私たち人間にとって美しくほれぼれする「紅葉」も、樹木にとっては生長するための「命の戦い」を繰り広げているのですね。がんばる樹木たちを見習って、私たち人間も与えられた命を燃やせるように顔晴りたいものです。
以下、10/22に行われた「ジオツアーズ秋山紅葉登山」での紅葉場面を紹介します。(場所は、市ノ瀬ビジターセンター&岩屋俣園地です)参加者のみなさん、おつかれさまでした!美しい紅葉が見られてよかったですね。
写真1:市ノ瀬ビジターセンターから見た「白山」の紅葉
写真2:ブナ平の紅葉