しみずっちの窓から㊱ ~ 雪国の暮らしの知恵から生み出された道具 ~
令和5年(2023年)2月7日(火)
雪国の暮らしの知恵から生み出された道具
表紙の写真は先週末に白山市白峰地区で開催された「白峰雪だるま祭り2023」の一コマです。このイベントでは、青年部を中心に白峰地区の住民が大小さまざまな雪だるまを作り、地区内が雪だるまでいっぱいになります。夕闇が迫り、雪だるまに灯りが灯されると、まち全体が素朴で幻想的な雰囲気に包まれます。雪不足やコロナ禍もあって、4年ぶりの開催となったこのイベントでしたが、雪国に暮らす人々の心意気、まちを思う気持ちがいっそう強く感じられました。
このように雪国で暮らす人々には、雪を活かして暮らしを創る、そんなたくましさや前へ進む明るさを感じるわけですが、このことは、暮らしの中で使われてきた道具(知恵を結集したもの)からも伺い知ることができます。
写真①(かんじき)
ご存じの方も多いと思いますが、「かんじき」は雪の上を歩く道具です。
雪の上を普通の長靴で歩くと、踏み固められていない雪の上は足を取られて思うように歩けません。かんじきは体重を分散させることで雪の上を歩きやすくする、木と縄で作った履物です。歴史は古く、なんと縄文時代から使われていた形跡があるようです。雪が深い白山ろくでは、今でも屋根の雪下ろしなどには欠かせない道具になっています。当施設ではかんじきを使ったアニマルトレッキングも行っています。必要ならば団体への貸し出しも行っていますので、ぜひご利用いただき、かんじきの良さを体感してもらえればと思います。
写真②(こしき)
利用する団体の入所式などで最近よくこの道具を見せて説明しています。「何に使うと思う?」と尋ねると、「舟を漕ぐときに使う」など、子どもらしく素直な答えも返ってきます・・・(笑)。これは、江戸時代あたりから雪の多い地方に存在した道具で、降り積もる雪を屋根から落としたり、屋根より高くなった雪を、玄関から通り道まで階段状に深く掘り下げるために使われていました。地方によって呼び名も変わるのですが、ここ白山ろくでは、「こしき」または「こしきだ」と呼ばれることが多いです。「こしき」は主にブナの木の一枚板で作られており、雪を30~40センチ四方の豆腐のような形に切って投げおろすなどして使います。私も使ってみましたが、スコップよりもしなりがよく、なおかつあたりがやさしいです。これも雪国で暮らす人々の知恵から生まれた道具と言えるでしょう。(残念ながら現在ではこうした道具を作る職人さんが少なくなり希少価値となっているようです)
このほかにも、わらぐつ、ゴザぼうし、アンカ、竹スキーなど、厳しい冬の暮らしをよりよく生きるための先人の知恵が詰まった道具が数多く生み出されています。こうした道具からも見習うべき人の生き方を学ぶ思いです。
☆おまけの写真(『心の中の鬼退治』)
2月3日は節分でした。1階ロビーの「季節の掲示板」には、私のつたない文字と職員が作ってくれた鬼の飾りが掲示されています。私にもありますし、みなさんにもあるだろう「心の鬼」(怠け心、自分勝手な心、人をやっかむ心など)に、簡単には負けない強くてしなやかな心を育てていきたいものですね。